2018年12月18日 意匠の物品の類似性
審査官は、対象となる意匠を審査する場合、「物品」の類似性と「デザイン」の類似性とを両方見て審査します。(意匠は、物品の外観に施すデザインだからです。)。
意匠審査官は、物品について審査する際、『意匠に係る物品』に記載された物品名を基に、物品の類似の判断をします(この物品名は、物品の用途・機能ごとに区分された意匠分類表の表記に沿って記載する必要があります。)。
「物品」の類似性は、基本的に物品の用途・機能が似ているかどうかにより、判断していきます。
例えば、
1. 物品が「自転車」の場合と、物品が自転車の形状をした「置物」の場合とでは、両者は異なる用途・機能なので、物品の類似関係がないと判断されます。
2. 物品が「カラビナ」の場合と、物品がカラビナの形状をした「キーホルダー」の場合とでは、両者は異なる用途・機能なので、物品の類似関係がないと判断されます。
3. 物品が「扇風機」の場合と、物品が「サーキュレータ」の場合とでは、風を送風するという機能が同じなので、用途が若干異なっていても、類似する物品と判断される可能性が高くなります。
4. 物品が「サインペン」の場合と、物品が「ボールペン」の場合とでは、筆記具としての用途が同じなので、機能が若干異なっていても、類似する物品と判断される可能性が高くなります。
1と2の場合、物品に類似性がないため、デザインが同一であっても、異なる意匠と判断されます。
3と4の場合、物品に類似性が認められるため、デザインが同一の場合、類似する意匠であると判断されます。
物品の同一・類似とデザインの同一・類似で意匠がどのように判断されるかをまとめると、下のようになります。
デザイン同一 | デザイン類似 | デザイン非類似 | |
物品同一 | 同一の意匠 | 類似する意匠 | 異なる意匠 |
物品類似 | 類似する意匠 | 類似する意匠 | 異なる意匠 |
物品非類似 | 異なる意匠 | 異なる意匠 | 異なる意匠 |
意匠権は、登録された意匠と同一または類似の範囲まで、権利を行使できますので、意外に重要な知識となります。