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2018年11月16日 意匠の類似判断 (東京高等裁判所の判決)
意匠の登録要件として、従来意匠と同一または類似する意匠は登録を受けることはできません。
また、登録意匠は、それと同一または類似のデザインの侵害品について、製造の差止めや損害賠償を請求することができます。
では、その類似判断について、東京高裁の判決を例に見ていきましょう。
被告の布団干器は、登録意匠の布団干器を侵害するか否か。
被告製品(布団干器)
登録意匠(登録第360639号)
高裁判決(昭和56年(ネ)3156)において、『侵害しない』との判断が下されました。
上記登録意匠と被告意匠とは、類似していないということになります。
理由:
両者はフレームの基本的形状および、使用時の全体的な印象が異なる。
登録意匠のフレームは、僅かに横長の方形である。また、使用時は三本足である。
被告意匠のフレームは、縦長で、下方が狭い台形である。また、使用時に四本足である。
その結果、両者は一見して印象が異なり、両者の美感が異なる。
判決の詳細は、次のURLから参照ください。(http://isho.hanrei.jp/hanrei/ds/4992.html)
この判決から、
- 意匠登録の製品を侵害しないようにするには、後発製品と登録意匠の差を上記程度変化させればよい。
- 意匠権者は、侵害品を予測して、複数のパターンの意匠出願を予めしておくとよい。この判決の布団干器の場合でいうと、台形状のフレーム、4本足のフレームを予測して出願しておく。
といえます。
次回は、関連意匠制度について、お話しします。