2018年9月14日 発明の進歩性について
今日は、「発明の進歩性」についてお話しします。
特許で保護する発明は、客観的に見て新しい発明であることが必要です。
そして、特許法では、発明を保護する条件として、さらに、従来技術(すでに知られている技術)から容易に開発できない程度の困難性を求めています(これを「発明の進歩性」と言っています)。
時期と地域の基準については、「発明の新規性」と同じ基準が採用されます。
ここでは、「発明の進歩性」の内容の判断基準についてお話します。
この進歩性判断については、出願された発明の内容が「新規性がある」と判断された発明について、さらに権利化するに相応しい発明なのかを吟味するために設けられた基準です。言い換えると、「新規性のある発明」であることが前提条件に、進歩性のあるなしが判断されます。
特許庁審査官が特許出願した発明の進歩性を審査するときは、発明の新規性判断の時に用いた引用技術を基準として、その発明の技術分野に精通した第三者(これを「当業者」と言っています。)の立場で考えた時に、出願された発明の引用技術からの差異点が引用技術から容易に開発できるか否かの論理づけにより判断します。
この論理づけは、その差異点が従来からその業界で使われている技術(慣用技術)を用いている場合、その差異点が他の引用技術(引用文献)に記載されており、それらの単なる寄せ集めに過ぎない場合、「容易」に開発できたと判断されます(この2パターンが多いです)。
上記のような指摘を受けた場合、反論の余地があるかどうかを検討していきます。
例えば、
① 出願発明の技術分野と他の引用技術の技術分野に違いがある場合
② 出願発明の目的・効果と他の引用技術の目的・効果が異なる場合
③ 他の引用技術に出願発明の差異点を補充できる根拠がない場合
等は、基準となる引用技術と他の引用技術とを寄せ集める動機が不十分と考えることができます。
また、寄せ集めであっても、それらの組み合わせによって、従来にない顕著な効果が表れる場合、進歩性があると主張することができます。
次回は、現状の発明の構成では反論の余地がない場合の対応(補正)について、お話しします。